多重量化について講義した際、質問して頂いた問題について取り上げたいと思います。
多重量化で次の構文を取り上げました。
∃x∀yR (x, y) 誰かがみんなを愛している(能動態)
∀y∃xR (x, y) 誰もが誰かによって愛されている(受動態)
本当は、R (x, y)と書かずにRxyでもよいのですが、下記議論と歩調を合わせるためにR (x, y)と書きます。
さて、これを以下のように表してはダメなのか、という質問を受けました。
A-R (∃,∀) 誰かがみんなを愛している A= Active(能動態)
P-R (∃,∀) 誰もが誰かによって愛されている P= Passive(受動態)
私(管理人)の元々の説明は、以下の通りでした。
① R (∃,∀) だけだと能動態と受動態の意味が混同されてしまう。
② なので量化子を前に出して∃x∀yR (x, y)と∀y∃xR (x, y)で能動態と受動態の区別を付ける。
質問してくれた方は、この②のやり方が回りくどいので、能動態読みをA-R、受動態読みをP-Rで表せばよいのではないか、と批判的に質問してくださったのです。
数学的ルーツ
しかし数学的ルーツを考えるなら、やはり述語にA-やR-といった記号を付けるのは望ましくありません。
∃x∀y ≦ (x, y) 或る数は全ての数より小さい
(≦にしたのは、この数を0とみなすため)∀y∃x ≦ (x, y) どんな数も少なくとも1つの数より大きい(どんな数にも自分より小さい数がある)
(5だったら4,
3だったら2,
0だったら自分自身・・・この0について言うため≦にしました)
もともと多重量化は、こういった数学的発想を明確に表すためのものでした。これを次のように表記したらどうなるでしょうか。
小≦ (∃, ∀) 或る数は全ての数より小さい
大≦ (∃, ∀) どんな数も少なくとも1つの数より大きい
こう表記の区別をしたなら、≦記号の独立性が失われてしまいます。
同様に能動態読みをA-R、受動態読みをP-Rと表すのは得策ではない、と私(管理人)は考えています。
本記事はここまでです。
若干不完全な論考なので、コメントやご批判がありましたら、お願いします。



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